数年前、退職金の一部で投資信託を買ったという人の話を聞きました。
「占いで『今年は金運が最強』と言われたから思い切った」とのことでした。
けれど、購入直後にウクライナ侵攻が始まり、相場は急落。
気づけば評価額は半分近くまで落ち込み、焦って売却してしまった結果、150万円ほどの損失になってしまったそうです。
こうした話は珍しくありません。
暴落のとき、人は「もうこれ以上下がるのが怖い」と感じて、
“今だけは逃げたい”という気持ちに支配されてしまいます。
でも、本来の投資とは「暴落を乗り越えた先で利益を得る仕組み」。
短期の値動きに心を乱されて売ってしまうと、その“回復の果実”を受け取れなくなります。
この記事では、市場が下がったときにやってはいけない行動と、長期目線で心を保つ方法を整理していきます。
暴落時にやってはいけない行動
相場が下がると、誰もが「このまま下がり続けるんじゃないか」と不安になります。
でも、ここでやってはいけない行動が3つあります。
①「もう嫌だ」と思って全部売る
含み損の数字を見続けるのはたしかにつらいです。
けれど、「もういいや」と売ってしまった瞬間に“損”は確定します。
その後に相場が回復しても、上昇の恩恵を受けられなくなります。
暴落=一時的な通過点だと理解しておきたいところです。
② ネガティブニュースにのめり込む
SNSやテレビが「大暴落」「世界経済が終わる」と騒ぐ時期ほど、情報を遮断する勇気が必要です。
投資家にとって最大の敵は“情報過多によるパニック”。
必要以上にニュースを見ないだけで、心の波はかなり静まります。
③ 焦って別の投資に乗り換える
「こっちは下がったけど、あっちは上がってる」と焦るのも危険です。
移った先でもタイミングを外すことが多く、結果的に“どちらも損”になるケースが多いです。
「持ち続ける」も立派な行動の一つです。
💡 豆知識|投資の7割は“待つ力”で決まる
短期で利益を出すよりも、下がったときに動かない勇気を持てるかがリターンを左右します。
米国の投資家ピーター・リンチは、
「株でお金を増やす本当のカギは、ビビって手放さないことだ」と語っています(趣旨)。
“売買のうまさ”より、“時間を味方につける粘り強さ”が鍵です。
※参考:Peter Lynch — “The real key to making money in stocks is not to get scared out of them.”
下落に動じないための「心のルール」
暴落時に冷静でいられる人は、実は「心を守るルール」をあらかじめ決めています。
ここでは3つに絞っておきます。
① 投資目的を明確にしておく
「老後のため」「10年以上の運用」など、ゴールを言語化しておくと短期の下落に左右されにくくなります。
“いまの値段”ではなく“目的”を見て動けるからです。
② 分割で投資する
一度に全部入れるのではなく、時間を分けて投資すれば、下落は“安く買えるチャンス”に変わります。
まとまったお金(退職金の一部など)の場合でも、5〜6回くらいに分けて投入するくらいがちょうどいいです。
③ 見ない勇気を持つ
毎日の値動きをチェックするほど感情が揺れます。
長期投資なら「月に1回確認」で十分。
“見ない=逃げ”ではなく、“信じる行動”として位置づけておくと楽になります。
まとめ
暴落は「投資の失敗」ではなく、「投資の一部」です。
下がることを前提に仕組みを整えておけば、むしろ下落をチャンスに変えることができます。
焦って売らず、静かに見守る。
投資でいちばん大切なのは、心を守るルールを持ち続けることです。
次回予告
暴落を乗り越えたあとの課題は、「どうやって続けるか」です。
次回・第13回では、積立NISAを“続ける勇気の練習場”として考えてみます。
毎月1万円でも、続けることには意味があります。
金額の大小よりも、「習慣を守る力」を育てることに近いからです。
少額投資が心を整える仕組みを、次回は掘り下げていきます。

